8 UFPR(Universidade Federal do
Paraná パラナ連邦大学) パラナ連邦大学を紹介したい。写真の最初の2枚は、市の中心部のPraça Santos Andradeにある、大学を象徴する建物である。ただしこれは経済学部ではない。経済学部、経営学部は、その下の写真で、非常に近代的な建物である。ま だ新しく、他学部からうらやましいといわれていると、セハ先生(わたしの受け入れ教員)がおっしゃっていた。下の2枚のうちの左は、講義棟の内部で、すご く大きな吹き抜けになっていて、そのまわりに教室が20ほどある。1Fが経済学部の講義室である。1部屋はだいたい45人くらいがはいる容量である。ほと んどの講義が、40人以下の少人数だ。 朝は時半に授業が始まる。ほんとうに時間通りに始めているのか、はっきりいって疑ったが、文字通り7時半ちょうどに開始している。9時20分には、すで に1時間目がおわっている。ちょっと早めにおわるときなどは、9時にはおわり、朝の9時半には自宅にかえっている。夜は、7時や9時から始まる授業もあ る。夜間部だが、その講義も普通の学生が大勢受講している。今日(5月12日 月曜日)は、19時からのMariano de Matos Macedoという教授の「地域経済学」の講義にでた。ちょうどクラスターや、SPIL(Sistema Produtivo e Inovativo Local、地域的生産イノベーションシステム)や、APIL (Arranjo Produtivo e Inovativo Local、地域的生産イノベーション編成)をテーマにした講義だった。いわゆる「産地」論で、経済が、大量生産大量消費のフォーディズムから、ポスト・ フォーディズムそして知識経済(economia de conhecimento)へと移行するなかで、「産地論」が新しい競争力の担い手として注目されている。 ブラジルでもその議論が盛んになっていて、とくにAPILが注目されている。クリチーバにもこうした「産地」があるし、パラナ州にもたくさんある。家 具、医療機器、ソフトなどなど。学問的には、産地、クラスター、SPIL、APIL、企業ネットワーク、イノベーション環境(innovative milieu/milieu inovador)は、それぞれ微妙に意味が異なる。それらを整理したグロサリー(用語集)が、ポルトガル語で存在する。とても便利である。それがほしい 人は、連絡してくれれば、Eメールで添付して渡しますが、リオ・デ・ジャネイロ連邦大学のネットに転がってます。http: //www.ie.ufrj.br/redesistです。リオ・デ・ジャネイロにも、この研究している人たちがいるわけです。セアラ連邦大学にも、わた しの知人の教授がやってます。APLないしAPILの研究は、全国的ブームになっています。 ところで学生さんの感じは、横国とちょうど同じ感じです。おそらく学生にとっては、かなり難しい内容ですが、私語無くきいている。すばらしいです。しか し少しですが、遅刻してくる人もいます。、それは世界中、同じでしょう。あと、質問をどんどんするかというと、内容が高度なので、それほど質問は出ないで す。日本の学生はおとなしすぎて質問をしないとよくいわれますが、講義の内容によりましょう。こっちでも、難しい講義の内容のときは、それほど質問はでな いですが、しかし最低1人は必ず質問します。そうした1つの質問がでるか、でないが、その1つの差が大きいと感じます。1つでも質問がでるのは、やはりす ばらしい。日本での講義だと、そのたった1つの質問がでないことが多い。わたしの講義技術にも問題があるのでしょうが、学生さんの意欲がちょっとブラジル と比べて低いという問題もあると思います。 全体に、女性がどの講義でも7割くらいを占めています。ブラジルはいま女性のほうが多いのです。全国平均で女性は51.3%、男性は48.7%。 2006年のPnad(Pesquisa Nacional por Amostra de Domicílios、全国家庭標本調査、正式の邦訳語は失念したし、確認する専門用語辞書は横浜の自宅で、ここにない)によれば、すべて の地域で、女性が男性を上回っています。これは若者の男女関係にも影響を与えていると思われます。もともと、男尊女卑の伝統が強いブラジルで、男性がます ます優位にあるわけです。むろん、一度結婚してしまえば、夫が女性(妻、主婦、奥様)に頭があがらなくなるのは、世界共通のようです(笑)。 9 サンタカタリナ州のフロリアノーポリス市の魚屋さん クリチーバ市は、海まで90kmくらいで、近いのですが、いい魚がないようです。パラナグア港は、産業港で、漁港ではなく、いい魚は隣の州のサンタカタ リナ州の州都のフロリアノーポリス市で水揚げされるようです。そこで、片道350kmを走って、買い出しにいきました。ホームステイさせてもらっているコ ヘイアさんと一緒に。この国では、往復700kmくらいのドライブは短いという感覚のようです。 かってきた魚は、新鮮で美味でした。写真は、おいしい魚がかえる、mercado municipalのなかの、魚屋さんです。魚屋が10数件、軒を連ねてます。 しかし、それにしても売り方がすごい。キロ売りで。 10 有機栽培のコーヒー パラナ州は、いま有機農業がブームで、消費者は値段が少し高くても、有機栽培された農産物をかう傾向を持ち始めているようです。毎週土曜日の朝に、 Passeio Públicoという都心部の公園で、有機農産物の市場が立ちます。写真は、有機コーヒーを飲ませるたいへんおしゃれなカフェ店で、市の中 心部のショッピング・イタリアにあります。SEBRAEという、中小企業の産業振興を担当する連邦機関があります。そこのパナラ支局の田中さんという 日系の方に取材したときに、知りましたが、パナラ州では有機農業がたいへんさかんになってきていて、新しい競争力の要因だと、おっしゃてました。 11 Ipêの木 とくにコメントなしですが、ブラジルを代表する木です。 (Ippeiと書いていたのは、間違いでした。訂正します) 12 クリチーバ市の都市計画 Jaime Lernerという都市計画家が70年代に市長になって(軍事政権時代だったので、公選ではなく、任命制だっ た)、都市計画を前進させました。彼の功績は非常におおきく、その後パラナ州知事もつとめました。建築方面の世界的学会の会長もされています。業績はたく さんありますが、高さ制限を厳密にしたことが特筆すべき仕事の1つです。それは、ブラジル電話公社(Embratel)のタワー(Torre Panorâmicaという)の上の展望台から、わかります。高層ビルが可能とゾーンと、低層のゾーンが、見事に分かれています。写真は雨の 日だったので、暗いですが、また晴れ日に再度撮影しにいこうと思います。なおこの展望台の建設にはJaime Lernerさん本人もかかわっておられます。自分の功績をみんなにみせたかったのかもしれませんが、とにかく都市計画の学習教材としては、教師としてい わせてもらえば、最高の展望台です。 Jaime Lerner市政をささえた日系人がおられます。中村ひとしさんという方で、クリチーバ市役所で環境局長として活躍されました。今月(2008年5月) に、日本で講演されます。レルネル市長の3期目において、環境局長をされたのです。国連の環境賞を受賞されています。わたしは1992年におあいしたこと がありますが、大勢の観客の1人で、かつわたしは大学院生でしたので、先方は私をご存じありません。中村さんがガイド役で、バスで市内を 案内してくださったのでした。世界都市会議(Fórum Mundial das Cidades)というのを1992年の5月にクリチーバ市が主催したときでした。 ■日時:2008年5月20日(火) 18:00~19:30(17:30開場) ■場所:上智大学四ツ谷キャンパス中央図書館9階 921会議室 ■言語:日本語 ■ 参加無料、事前登録必要なし ■問い合わせ先:上智大学ポルトガル語圏研究所 Tel/Fax 03-3238-3536 Eメール celuso@sophia.ac.jp |