2008年ブラジル滞在日記 その2 by Keiichi YAMAZAKI
■山崎研究室(横浜国立大学経済学部)のサイトのトップページに戻る
■ブラジル滞在日記のトップ・ページにもどる
アップロード:平成20年5月12日(月)
5 気温
4月中旬までは、朝も夜も暑かった。とくに昼は猛烈に暑かった。外で上半身素っ裸になって、体操していた。
しかし5月になってくると、朝は霜がおりるほど寒い。昼間については、同じく寒い日と、暑い日がある。暑いといっても、
日向が暑く、室内や日陰はひんやりしている。部屋の中は、下着、ポロシャツ、セーター、およびオーバー・コートと、
4枚重ね着をしている。むろん暖房のある部屋は、その必要はないが、研究するときはあまり暖房をがんがん
かけると、頭が回らないので、日本でもそうだが、厚着で作業している。クリチーバは標高900mほどあるので、
山の天気である。朝と昼の温度の差が激しい。
数字で示しておくと、4月29日の最低気温は16度、最高気温が25度。30日の予想が最低11度、最高21度、
5月1日はそれぞれ7度と21度の予想だった(4月29日 Gazeta do Povo紙による)。
6 チューブ式バス停留所について補足
写真がとれたので、掲載しておく。バスの乗り降りは、このようになっている。手前のチューブのほう
からは、固定式の小さなブリッジが延びている。他方バスからは、上からばたんとブリッジがおりてきて、
それから扉が観音開き式で開くようになっている。
この仕組みがあるのが、赤バスと銀バス(ligeirinho)で、それがないバスは、チューブ駅を利用しない。
チューブ駅は、ポルトガル語で、読んで字の通りだが、tuboという。(男性名詞)
7 貧困地区
ブラジルというのは、高級住宅地の郊外が発達するという風になっていない。そのような地理的構造の
発達のためには、郊外鉄道というか、住宅地区開発と鉄道建設を同時にするめるような鉄道・不動産資本が
形成されていなければならない。日本では渋沢栄一のような資本家がそれをすすめたわけだが(東京の
田園都市)、ブラジルはだいたい都心にあらゆるインフラが集中している。上下水道、ガス、電気、街灯、
舗装道路、学校、図書館などなど。だから金持ちも貧乏人も、都心に集中して暮らしている。いや、都心は
どちらかというと、金持ちが占有していて、貧乏人は、インフラとくに生活基盤のない郊外ないし都心の外側に、
暮らしている。「郊外」や、都心の外側部分は貧しいというイメージを、普通の人は持つと思う。
われわれ家族が暮らしているクリチーバ市内のカルジュ地区は、都心ではない。しかし、クリチーバの場合は
都心だけでなく、郊外というか、都市の外側にも、インフラ網が整備されている。それだけ発展した
都市である。だから、このあたりにはインフラがあり、インターネットもできる。そこそこの金持ちがすんでいる。
同時に、貧困地区もある。その金持ち地区は、日本人の目からみると豪邸街にみえるが、ブラジル人からみると
中流で、ごく普通の規模の住宅だ。ブラジルでは、金持ちはとことん金持ちだ。最大の土地をもっている
人の土地の広さは、イスラエル国家の国土に匹敵すると、『VEJA誌』が数年前に報じていた。日本人に
豪邸にみえる地区も、たいしたことがないのである。ここでは括弧付きで「豪邸街(中流地区)」としておこう。
このような、「豪邸街(中流地区)」と貧困地区が、隣り合わせというのが、ブラジルの都市空間形成の特徴と
いえると思う。それに当てはまらない都市もたくさんあるだろうが、一般的な特徴としてこのことを指摘して良い
と思われる。
写真は、すんでいるところすぐ横の、「豪邸街(中流地区)」および貧困地区の景観である。貧困地区は
野犬がうろうろしている。わりとゆたかなのか、それほど怖い表情をしていない。野犬は狂犬病のワクチンを
摂取していないことが多いから、かまれた人は危険な状況に陥るが、今のところ襲ってくるような凶暴な感じの
野犬は見かけない。
わたしの院生もいってたが、途上国研究では、野犬とかデング熱とか、そういう病気の予防が成功の秘訣
のようである。