2008年ブラジル滞在日記 その11  by Keiichi YAMAZAKI
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★記事44に、訂正があります。赤字で表記しています。山崎圭一 拝

43  動物園にいく
  市内の動物園にいってきた。広大な森林の中に、オリが点在している。オリのない放し飼いに近い動物もいる。のちほど写真を 掲載したい。イグアス公園(「イグアスの滝」ではない)という市内の公園の近くにあるが、公園から歩いていけるほど近くはない。バスで10分くらい走る と、ついた。動物園は、ポルトガル語で 「Zoológico」というが、つい英語の影響で「ズー~」と発音してしまう。つうじない。「ゾー~」が正しい。
 この動物園の名前は、Zoológico Parque Náutico Iguaçúという。近くに、クリチバの代表的な貧困地区の1つがあり、市の住宅公社Cohabの不良地区改善計画が展開し ている。
  写真をごらんください。うっそうした林。かなり原生林(vegetação nativa)だと思いますが、専門的な区別は気にせず、みてました。これが、ブラジルでいう「市内の公園」parque urbanoだと思われます。ひさしが強い日でしたが、広場以外は、涼しかったです。訪問日は5月22日(木曜日、こちらの祝日)あたりだったと思いま す。
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44 アルミランテ・タマンダレ市の住宅政策
 クリチバ市の北側に隣接して、アルミランテ・タマンダレ市がある。住民数約9万人の都市、というか町で、農村部と山林が多い。北のほうから南へと、バリ グイ川が流れている。アルミランテ・タマンダレ市はクリチバよりもバリグイ川の上流側にあるので、この町の森林保護と水 質保護は、クリチバ市にとって、非常に重要のようである。そこで、州の水道局にあたるSANEPALがいろいろ公共投資の活動をしている。しか しアルミランテ・タマンダレ市には、まだまだ下水道がない地区が多い。
 追記:なおクリチバの上水の源は、ほかにもあり、アルミラン テ・タマンダレ市だけではない。アルミランテ・タマンダレ市のほとんどの部分がカルストの上にある。つまり地下におおきな自然の貯水池がある。その水質保 全のためもあり、SANEPALは下水道整備に力をいれている。アルミランテ・タマンダレ市のカルスト地形の生み出す水は、クリチバ市の北部の一地域の水 源として利用されているようである。すなわち2012年までに、市街地については100%下水道網を整備すると、約束しているそうである。
 5月30日の金曜日の午前中に、アルミランテ・タマンダレ市の住宅局長にあって、いろいろお話をきいた。連邦政府のPromoradiaなどのプログラ ムはここではなく、CEF(連邦貯蓄銀行、ブラジルの住宅金融公庫)の融資もあまりないようだ。市の住宅基金で、市営住宅の整備をしているようだが、どう みてもまわりは不良住宅がおおいので、わたしの第一印象では、「焼け石に水」のように思われる。市が取り組んだ地区の1つに、Chico Mendes(シコ・メンデス)という地区がある。そこの写真をデジタル情報で頂戴したが、実際にいってみた。6月1日の午後に、ぶらっと一人でいってみ た。アルミランテ・タマンダレのバスターミナルから、クリチバのカブラルというターミナル駅に戻る各停バス(オレンジ色)にのる。途中でバスのガレージの 停留所がある。そこでおりると、まわりは貧困地区だが、そこからさらに貧困地区の内奥へと、15分ほど歩いてはいっていく。途中で人に聞きながらいった が、人によるとシコ・メンデス地区は2つあるという。
 現地に到着すると、地区は1つだとのこと。情報が混乱している。3000人くらいが暮らしているらしく、かなり広範囲の地区だそうである。ちょうど、自 動車で出かける直前のマノエルさんという方をつかまえることができた。市会議員選挙の候補者とのこと。彼から話しを聞いた。まわりをみても、全体に貧しく て、どこに改善の事例があるのか、わたしにはわからない。めだって、「あ、きれいになっている」とわかるポイントがみつからないので、彼に「どこか、具体 的な改善事例の写真をとりたいのですが、教えてくれませんか」と聞いた。すると、今たっているこの土の道路だとおっしゃった。「え?」と思ったが、どうや ら土による簡易な道路整備の事例らしい。まだアスファルト舗装まで、いかない。この土の道でも、以前よりはすごくましで、市の投資のおかげだと感謝されて いた。下の写真が、改良された道路の一例で、ここはシコ・メンデス地区を見渡せる、地区内の丘(morro)の頂上である。
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 15年くらい前からのコミュニティらしいが、4年前はまだ電気も水道もなかったらしい。現在はみてのとおり、電気はきており、上水もきている。下水は、 ある部分とない部分があるそうだ。インターネットなきていないとおっしゃっていたが、自動車をもっている人は多いようだ。診療所は1つあるが、30人、 40人が列をつくり、医師は2人が交替で、不足しているとのこと。24時間ではなく、夜は閉じている。市によるゴミ収集は週の1回とのこと。
 このコミュニティの優先課題は、(1)下水の整備、(2)生活道路整備、(3)診療所の体制の充実、(4)ゴミ収集の回数の増加、(5)パソコン教室の 設置、(6)児童の放課後の活動の場の整備、などだとのことだ。今の市長さんは、ゴインスキーさんというが、マノエルさんは彼の市政を「高く評価するとの ことであった。マノエルさんの印象論だが、85%の住民はCPFというIDカードを所持しているとのことだった。またほとんど人がIPTU(市街地土地・ 建物税、日本の固定資産税にあたる)をふくめた市税を納付しているとのことだった。
 住民協議会(associação de moradoes)があり、月に1回程度、不定期だが、会合を開くらしい。
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  クリチバの町を歩いていると、荷車を引いてゴミ集めをしている人をたくさん見かけるが、そうしたゴミはどこにもっていかれるのだろうか?クリチバから 711km離れたポルト・アレグレ市の環境局で先週聞いた話では、同市には約8000人の、インフォーマルなcatadores(ゴミ収集人)がいると推 計されており、売れるものはうって、売れないものは路上に捨てるらしい。クリチバの様子はまだ聞いていないが、ゴミは下の写真のような場所に集められるの だろう。別の場所できいたが、子どもと女性が分別して、男はゴミを拾ってくる係らしい。昔は、集めた紙類をすこし水で湿らせると、2kgぐらい重くなっ て、より多くのお金と換金できたらしい。換金所の担当者を少しごまかす手口だが、貧困者の生き残る知恵だ。現在でも通じる技なのかどうかは、わからない。  
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 下は地区内の低地部分にある川で、家庭廃水で汚染されている。豪雨時の氾濫は困るらしい。

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  明日、6月3日(火曜日)は、アルミランテ・タマンダレ市の財政局長に取材する。ゴインスキー市長にも、昨日市内の州立公園の開園式でおあいしたので、ま たあってお話をしてくださるそうで、これからアポ取りである。

45 アルミランテ・タマンダレ市のパラナ州立環境公園
 5月30日の金曜日の午後、アルミランテ・タマンダレ市をブラブラ歩いていたときに、この公園に初めて来た。開園2日前だっ た。門番が、州の policia militar(軍事警察)で、あいそがよく、公園を管理しているpolicia militarのキャプテンcapitaoを紹介してくださった。そのcapitaoが、policia militarの車両で公園内を案内してくださった。シュラスコ(ブラジル風バーベキュー)の小屋あり、展望台(mirante)あり、環境教育の施設あ り、遊歩道あり、池がありの、かなりの投資がなされた公園である。サンパウロ市内のイビラプエラ公園よりも、大きい。
 ここは、Parque Ambiental Alnibal Khury(アニバル・クリ)という名前で、220ヘクタール。広大である。Aníbal Khuryさんは、このあたりの名士で、クリチバ市長、パラナ知事、連邦議 会議員などを歴任された方である【これは、以下へ訂正しま す。正しくは、主にパラナ州議会議員をされた方でした。パラナ知事については交代期にごく短い期間就任されたそうです】。その孫の Alexandreさんも、今は地方 政治家で、式典に参加されていた。写真は、公園内の一風景。
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 6月1日は、このパラナ州の新環境公園の開園式だった。州知事のRoberto Requião氏(ホベルト・ヘキオン、現地発音による)も、こられていた。連邦議員もいた。ゴインスキー市長もむろん。
 policia militarの騎馬隊の馬、84頭を管理している場所が、公園内部に併存している。馬の医療施設もあった。森林管理も、州の関連部局と一緒に、 policia militarがされているようだ。
 ちなみに、この公園の話ではなく、一般論だが、違法伐採の取り締まりは、policia militarも環境当局と連携してとりくむらしい。
 さて、ここはpolicia militaraの騎馬隊の常駐する自然公園ということで、ヘキオン知事式典での演説で、治安のよさを全面に打ち出しておられた。ここは、「都市公園」に 分類されるが(日本的にはどうみても農村部)、都市公園parque urbanoとしては、ブラジル南部で一番大きいそうだ。
 もともと地主さんがいて、その方がAnibal Khuryに土地をうり、さらにクリさんは安くこの土地を州に売ったそうだ。disapropriacaoで、州はpreco razoavelを支払って入手したと、レキオン知事は演説で強調されていた。
 写真は公園に常駐する騎馬隊(cavalaria)と、白い馬。
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