稀少渓流魚とモザイクアマゴの由来

このページは吉安克彦氏の情報提供・監修です

在来種の斑紋および体色変異一覧
(2005年1月現在)
サケ属
 アマゴ系
   1 アルビノアマゴ
   2 イワメ
   3 ムモンアマゴ
   4 モザイクアマゴ
 ヤマメ系
   1 アルビノヤマメ
   2 ムハンヤマメ
イワナ属
 オショロコマ系
   1 ムハンマルマ
   2 マダラマルマ
   3 ノンスポマルマ
 アメマス系イワナ
   1 アルビノイワナ
   2 ムハンイワナ
   3 ナガレモンイワナ
   4 カメクライワナ
   5 ノンスポイワナ
「モザイクアマゴの由来」
祖先は岐阜県長良川産のアマゴ
高知県高岡郡檮原町下西の川の、清流で知ら
れる四万十川水系四万川(シマカワ)支流の一角に
ある故川上清澄氏経営「アブラビレ研究所」で、
1968年より25年間継代養殖による近親交配に
より作出された。
このアルビノ(白化現象)遺伝子が固定された種
苗を、その後交通事故で亡くなられた川上さん
から譲り受けた、佐藤正治氏(佐藤アマゴ養殖場
名水百選・観音水隣、愛媛県東宇和郡宇和町明
間)が1998年頃から4〜5年継代養殖した稚魚か
ら、このモザイクアマゴが出現し始めた。
2003年秋、採卵の出現率は孵化稚魚10万に対
し、アルビノは100〜200尾だがモザイクは1尾
強の稀少出現率で、総計80万孵化稚魚の中の
9尾が2004年11月現在全長15cm〜23cm大に
育っている。
昨年このモザイクの成魚雌雄の交配では1尾も
モザイクは出現せず、前述の「川上種苗」での
交配は上のごとき出現率であった、このことから
稀少中の稀少品種であろう。
現在、発症原因について愛媛県立宇和島水産
高校の山木勝博士が研究し、論文作製中である。

ノンスポマルマの特殊斑紋型
(The none-spotted malma trout)

ノンスポマルマ(天然魚)
2004.6.17 道東・斜里川水系チエサクエトンビ川
これはオショロコマの特殊斑紋型で、
私はThe none-spotted malma troutの省
略として"ノンスポマルマ" と仮称しました。
 以前に数個体のノンスポイワナを採捕、
観察した時もそうであった様に、この完全
型は実存すると思いますが、今回はこの
1個体のみ採捕したので、厳密に言えば
僅少ながら不鮮明な小斑点があり、移行
型の一例です。斑紋点が鮮明な普通型と
比べ外部形態の単純化であり、その生因
は滝とか下手が涸沢になっているなどで
陸封・隔離された小地域の小集団内にお
ける長期の継代的血族交配によって惹起
したものであり、この小集団は衰退し、
やがては「絶滅に向かうのだよ」と謂う
神様の御啓示でしょう。
   
普通型アマゴ
2004.11.24佐藤アマゴ養殖場
モザイクアマゴ(養殖・成魚)
2004.11.24佐藤アマゴ養殖場
モザイクアマゴ(養殖・幼魚)
2004.3.16佐藤アマゴ養殖場
アルビノアマゴ(養殖魚)
1993.9.11川上アブラビレ研究所
イワメ(天然魚)
1980.9.15三重県員弁川水系町野川
(三国谷)
ムモンアマゴ(天然魚)
1971.8.1三重県銚子川水系岩井谷
普通型ヤマメ
2001.9.17青森県奥戸川
ムハンヤマメ(天然魚)
茨城県花貫川水系多々良場川
ムハンヤマメ(養殖魚)
1981.7.18茨城県高萩市里美養殖場
普通型オショロコマ
2004.6.18道東・知円別川
ムハンマルマ(天然魚)
1992.6.18道央尻別川水系無名湧水地
マダラマルマ(天然魚)
2002.7.16道東斜里川水系アタクチヤ川
普通型アメマス系イワナ
2001.9.16青森県小老部川
アルビノイワナ(天然魚)
1977.7.16富山県小川川水系尾安谷
ムハンイワナ(天然魚)
1971.5.20滋賀県愛知川水系水晶谷
ナガレモンイワナ(天然魚)
1975.4.19滋賀県姉川水系源流
カメクライワナ(天然魚)
1975.6.25山形県白玉川水系亀倉沢
ノンスポイワナ(天然魚)
1991.6.15福井県笙の川水系源流
参考図書:吉安克彦著
1996年「岩魚草紙」
1997年「山女魚草紙」
2003年「岩魚属オショロコマ
      千態万様」
全国の主要図書館に収蔵
あり
上記採捕地以外に、今までにイワメは
大分県・愛媛県で、ムハンイワナは石
川・富山・山形・岩手県、ナガレモンイ
ワナは滋賀県の他水系で見出され報
告されている。
2005年1月現在、オショロコマのアルビ
ノは未発見であり、また、今後これら
魚種の新しい変異型が発見、または作
出される可能性は大きく、新情報があ
ればお知らせください。
数少なく貴重な渓魚は単に釣るだけで
はなく、1尾1尾その美しさを観察し、
できればリリースをしたいものです。
放魚も気が晴ればれします。「少なく
釣って、多く楽しむ」が渓流釣師の師
たるモットーでしょう。
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