頻発する火山活動により崖くずれや洪水などにより、冷水中で斃死した魚体は速やかに土砂に埋没 され、枯死した強酸性の珪藻堆積層の中で、魚体の動物性蛋白質の自然消化による、アルカリ化によ りアバタイト沈殿をもたらし、魚体が核となって燐酸ノジュールの形成が行われたと考えられている。 また、10万年前に鹿伏(かぶし)、小倉、阿蘇溶岩によって、この化石が発見される野上層の上に 固く覆われたことも化石保存形成に幸運であったという。 このように現地からは、世界でも珍しいサケ科魚化石、それも緻密なほど立派に遺骸が保存されている 化石が沢山発掘されてきた。 昨年5月から本年4月にかけ3回にわたり現地を訪れ、玖珠町塚脇在住の化石蒐集家で研究者でも ある高山明紀氏のご厚意を得て、数十の標本を観察、撮影し得る機会があり。現生種(Present Stage)の アマゴ(ヤマトマス)とこの創期(Original Stage)のものと比較し得ることができ、前記のごとき 発見につながった次第です。ここに写真数枚をご供覧のため掲載しました。 また、付記するのは、この創期(Original Stage)のものは成熟雄と思われる大型個体でも"鼻曲り" をしたものは見当たらなかったということです。同様の報告は「タイワンマス」でも見られます。 2011・4・29 吉安 克彦 記 |
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脱落した大きく鋭い顎歯と牙歯 および脱落歯槽部(上顎)、歯根孔(下顎) |
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2011年5月8日 釧路沖定置網にて採捕 |
歯は針状、細小化しているが、鋭利でえさの捕食 には化石種の歯よりも効率がよく、実用的に適応 進化したと考える |