途上国経済(2007年度)
試験結果、成績優秀者および講評
1 試験結果(平均点など) 2 成績分布
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総合成績(100点満点)
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期末筆記試験(70点満点)
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出席点
(20点満点)
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実数(人) |
構成比 |
構成比 |
90〜100点: |
19 |
10 |
9 |
平均点 |
74.9 |
53.1 |
12.2 |
80点台: |
56 |
30 |
26 |
標準偏差
|
12.9
|
10.0
|
4.7
|
70点台: |
59 |
31 |
27 |
60点台: |
34 |
18 |
16 |
|
50点台: |
11 |
6 |
5 |
49点以下: |
9 |
5 |
4 |
試験欠席者 |
28 |
|
13 |
合計
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188人
|
100%
|
100%
|
3 成績優秀者(総合点)
↓点数
1 |
97.5 |
1 |
97.4 |
3 |
96.8 |
3 インターネット版 |
96.3 |
5 では、氏名を |
95.1 |
5 削除しました。 |
95.1 |
7 |
94.8 |
7 |
94.2 |
7 |
94.1 |
10 |
93.7 |
11 |
91.6 |
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4 レポート:
全体に適切にかかれていたが、とくに秀逸だという印象を
受けたのは、I.T.君のレポートであった。なぜ秀逸だと感じたかというと、私の著書での「潜在能力論」の説明でわかりにくい点があることを指摘していた
からである。たしかにいわれてみると、説明不足の面もあるし、さらに深く議論していく必要のある問題であるにもかかわらず、初心者向けの浅いレベルの説明
でおわっているので、かえって混乱をまねいた嫌いもある。そこをついたコメントを含んだレポートであった。
5 試験の正答と講評
<設問1(正誤判定)>
正答は1番から順に、C、D、A、A、B、D、C、B
とくに7番と8番は、ほとんどの人が間違っていた。7番は有償資金援助
の原資は何かという問題で、この4つの選択肢の中では郵貯と回答するのがベストである。税金も皆無とはいえないが、税収を原資とするのは、主には無償資金
援助のほうである。8番のTIのCPI(corruption perception
index)に関する問は、難しかったかも知れない。汚職度合いをビジネスマンなどの「認識」で判断する理由の1つは、一見客観的とおもわれる、新聞報道
の数などの指標に、問題があるからである。汚職報道が増えたことは、摘発の増大の反映でもあり、汚職撲滅努力が増大した結果ともいえるので、透明性の向上
ともいえる。こうした一見「客観的」な指標が、かならずしもその国の透明性の指標とはいえないのである。
<設問2(キーワード説明)>
A.センのケイパビリティ論と、「帝国主義」についての簡単な説明をも
とめる設問であったが、大目にみて、できるだけ部分点を与える方向で採点した。後者については、超大国・支配国を米国1国とみるか、複数の先進国がそれに
あたるとみるかなど、見方がわかれる論点がいくつか存在するイシュウである。
<設問3(論述問題)>
途上国のかかえる問題、矛盾、課題について、原因、状況、対策の3局面
にわけて論じなさいという趣旨の問題であった。原因、状況、対策の3つにクリアにわけてかくことが難しかったようである。その点の不十分さについては、か
なり大目にみて、全体として論旨がとおった論説になっていれば、点数を与える方向で採点した。
全体に具体的に議論が展開されていてよかったが、気になった点は、問題
解決の対策として、ODA論を展開した人が非常に多かったことである。途上国の問題を、ODAではなく、途上国内部の努力で解決することについての展望を
示した人は非常にすくなかった。私の講義の本来の目標は、脱ODAであった。途上国みずからが、どのように経済的に、また政策的に、先進国から自立できる
かを展望しつつ、講義をすすめたつもりであったが、わたしの説明不足からほとんど伝わっていなかった。この点は今後の講義の反省材料としたい。