1 はじめに 2008年3月27日に日本を出て、7月26日に日本に帰国する予定で、ブラジルに滞在している。約4ヶ月間の滞在日記を記したいと思います。気楽に書 きつづった滞在記です。できるだけ写真を入れるようにしました。 2 第一印象 2-1 「都市格」が高いシティ まずクリチバの最初の印象は、都市の中心部、7km×7kmくらいの範囲が、すごくにぎやかなことです。どの街角をあるいても、人、人、 人。都心部全体が巨大な商店街のようになっています。道路に面した建物の1F部分は、ほとんどが何らかの商店(レストランや雑貨の小売店やスーパーなど) になっていて、それもにぎやかさの理由かと思います。ある街角があって、少し歩いて、もう賑やかさは終わりで「場末」かなとおもえば、またすぐ次の賑やか な街角になり、そういう雰囲気がどこまでいっても途切れないのです。ムラがないのです。 いいかえれば、どこが「へそ」なのかが、わかりにくいともいえます。大阪なら、梅田(北)に、難波周辺(みなみ)に、阿倍野あたりとか、横浜なら MM21のあたりとか、東京なら新宿、原宿、銀座などなど、そういう賑やかさの「焦点」があると思うのですが、クリチバ市の中心部にそういうのがないよう に思います。だいぶなれてきましたが、非常に不思議です。 どこまでいっても、にぎやかなので、治安もいいのです。人通りの少ない、危なそうな道が、ほとんどないのです。 夜も、9時くらいまで、そういう感じで、安全です(治安問題については別途詳細に書きます)。 ちなみに、新宿の歌舞伎町のような「風俗店」が集中する場所が、みあたりません。都心全体が健全なお店ばかりなのです。都市のもつ徒花(あだばな)また は恥部が、みあたらない。人間について「人格」という言葉あるように、都市についても「都市格」という言葉があるのですが、都市の品格つまり「都市格」が 高いと思われます。下の図は、セントロ・イストリコという歴史的街区です。あとでまたかきますが、自動車社会になっていて、とくにここ数年、自動車数が激 増しているらしいです。 2-2 ショッピング・センター 都心部全体が商店街のようだとかきましたが、その担い手は個人商店です。しかし大型のスーパーマーケットや、ショッピング・センターもたくさんあり、そ れは都心にも、都心の外側にもあります。都心から自動車で10分も走れば、ここでいう都心の「外側」にはいります。さすがにそのあたりになると、住宅が多 く、「どこまでいっても商店街」といった雰囲気はなくなります。 そうしたショッピング・センターの中の1つで、おもしろい子ども向けの遊びコーナーをみつけました。今、日本でも流行している、川崎のラゾーナや、横浜 市鴨居駅北側のララポートのようなタイプの設計の、ショッピング・センターです。ペルーのリマにも、ジョッキー・プラザという同類のショッピング・セン ターがあります。中流から上層階級をねらった商業施設です。ここは、子どもが冒険を楽しめるコーナーです。地面から3m、6mくらい離れたところを綱渡り するような遊びです。スタッフがつきそって、危険を防止しています。樹木は人造で、自然の樹木ではありません。全体にメルヘンの世界のような雰囲気がつく られています。バリグイという地区のショッピング・センター内にあります。 このバリグイは、都心部からちょっと離れています(車で10分くらい)。都心部にある、非常に新しいショッピング・センターとしては、以下のクリスタル がきれいです。ここは女性向けのブティックが多いです。 なお主な大型スーパーと、ショッピング・センターの名前を挙げておきます。 Mercadorama (主に食料品と洗剤など日常の消耗品) BIG (家電、日用品、日曜大工関係商品) Loja Americana (家電、日用品、日曜大工関係商品) Pernambucana (家電、日用品、日曜大工関係商品) Colombo (家電など) Casas Bahia(月賦販売による最貧層の貧困撲滅で世界的に有名な、家庭用電化製品の大型量販店) Iguatemi (クリチバではあまりみかけないが、1店舗確認した) Crystal (ブティックが並んでいる) Condor (わりと低所得地域にもあります。食料品も売ってます) 3 マクドナルド(マクド) ブラジルにもマクドナルドがありますが、とくにほかの店より人気があるとも思えません。人気がないわけでもなく、ごく普通に存在しています。ゴミ箱にお もしろい取手がついていたので、写真をとりました。マクドナルドにかぎらず、ほかの店でも、ときどき見かけます。日本も、これ、まねたほうがいいと思いま した。ゴミ箱の汚れで、手を汚さずにすみますので、清潔です。 なお、ぎょうぎょうしい宣伝文句だったので、それも撮影しました。BIG Tasty o Grande Matador de Fome.直訳すると、「BIG Tasty、空腹の大虐殺者」。つまりこれを食べると空腹でなくなるという意味です。 3枚目の写真は、おなじマクド(日本の関東では「マック」という、きざな言い回しで言及される)にあった、デング熱予防の警告です。クリチバは近代的で すが、それでもデング熱対策には余念がない。「植木鉢の水はためないようにしよう」という警告です。蚊の繁殖を絶つことが重要です。デング熱は、予防接種 が無く、とにかく蚊にさされないようにすることが唯一の予防法です。とはいえ、かなり私も刺されてます。現時点でクリチーバ市内でデング熱は発生してませ ん。デング出血熱のほうは、デング熱よりも危険ですが、これも、予防接種はありません。蚊にさされないように注意することが唯一の予防法です。 4 クリチバ市のバス・システム クリチバは、実は世界的なエコ・シティとして知られています。ジャイメ・レルネルという世界的に著名は都市計画家が市長になって、都市計画を充実させ、 エコロジカルな都市をつくったのですが、その象徴の1つがバス・システムで、これで人々は自家用車にのらずに、バスで通勤するようになったのです。おかげ で、都市全体のエネルギー効率が上昇して、CO2排出量も減ったのです。当時は。現在は、エコ・シティも大きな転換点にあり、とにかく自家用車が激増して います。写真は有名なチューブ式停留所です(ポルトガル語で、tubo)。そして3連式の大型バスです。 バスは、種類ごとに色分けされています。1ヶ月プラス1週間ほど滞在して、やっと、バスになれてきました。バスは、日本でも、知らない町のバスはむずかし いですね。というよりも、わたしは横浜に14年間すんでますが、いまだに横浜駅から大学にいくバス路線以外は、よくわかりません。自家用車で暮らしている ため。横浜よりクリチバのバス路線のほうをより詳しく知っているという状態になったかもしれません。 ★以下、バスの種類別の説明部分は、加筆、修正しました。平 成20年5月26日(月) ★ただし、この加筆、修正によっても、まだ不十分な部分が残っています。バス・システムの完全な説明については、 他の文献でご確認ください。 平成20年10月9日(木) バスは全部で、9種類あります。色でわけていうと、赤(3車両連結)、赤(連結無し)、銀色、黄色、オレンジ色、白色、別の白色、緑(2車両連結)およ び白の観光バスです。大きくは、チューブ駅を利用するのと、そうでないのに、分かれます。 1 チューブ駅を利用するバス 赤バス(3車両連結):チューブ駅にのみとまります。各停です。本数が非常におおく、ほぼ10分おきに、次のバスがきます。ワンマンバスです。 銀色バス:チューブ駅にのみとまりますが、急行です。ligerinho(素早い、リジェリーニョ)というニックネームのあるバスです。ワンマンバス です。たとえば、わたしが住んでいるカジュル地区からセントロのイタリア・ショッピング・センターまでは、途中で2カ所、つまりパラナ 連邦大学経済経営学部前(チューブ名はJardim Botânico)と、もう1カ所にしか停まりません。黄色バスだと15ぐらい停留所がある 距離です。 行き先が書いてあるのと、そうでなくて「Inter 2」というような表示のがあります。Interなんとかというのは、緑のInterbairro3というようなバス とは、異なります。緑バ スは、チューブを利用しませんし、かつ2車両連結なのです。 いずれにせよ銀バスは、びっくりするほど、速いです。急行なので、たくさんのチューブ駅をすっ飛ばします。 2 チューブ駅を利用しないバス 緑バス:interbairroつまり区間バスで、これは地名にくわしくないと、乗れませんが、4時間くらいかけて、もとの場所にもどってくるという区 間「循環」 です。だから、わからなければ、最後まで乗ってればいいわけです。チューブではなく、屋根だけの停留所にとまります。運転手以外に料 金徴収係がバスに乗り込んでいます。つまり各車2人体制です。 黄色バス:チューブは使いませんが、ワンマンです。こまかく、乗客がひろってまわるので、直線距離が短い区間でも、かなりあちこちめぐって いくバスですから、終点まで時間がかかります。 オレンジ色バス:何回か乗りましたが、黄色バスとの違いが、わかりません。 赤バス(ただし車両は1つ): 何回か乗りましたが、ほかとの区別が、まだつきません。 白色バス:下の都心循環とは異なり、他市とクリチバをつなぎます。私は都心のGuadalupe教会前ターミナルと、Jardim Ipé をつなぐのを、使って ます。黄色バスとちがって、あまりくねくね、あちこちまわりません。停留する回数は多いですが、比較的直線に走ると思います。 白色バス:チューブは使いませんが、ワンマンです。都心循環(Circular)で、右周りと左周りがあります。 観光バス:市内の観光スポット約25カ所をぐるっとまわってくれます。30分おきにまわってくるので、すきな観光スポットでおりて、観光がおわれ ば、次にくるバスにのればいいのです。プラサ・チラデンチスが起点であり終点です。窓が大きく、景色がよくみえるように設定されたバス で、絵柄がかかれていますので、すぐ観光バスだとわかります。 このように、有名なチューブをつかうバスと、そうでないバスに、おおきく2分されているといえます。チューブには、料金徴収係がすわっています。人件費 がかかるようにもおもえますが、その分バスはすべてワンマンなので、むしろ人件費節約になるのでしょう。赤バスはとくに台数がおおく、本数も多いので、す べてに料金徴収係を配属すると、たいへんな人件費になるのでしょう。料金はチューブにはいるときに支払うので、バスの乗り降りに時間がかかりません。その 分、バスの停留時間が短く、バスの運行がはやく、かつ正確なのです。バスの時刻表はインターネットでわかるようになっています。ほぼ時刻通りに到着しま す。 下の写真は、乗客の乗り降り数が多いチューブ駅で、チューブ2つが合体されています。チューブ駅は、停留所(ponto de onibus)とはいわず、チューブ(tubo de onibus)で通じます。バス内の音声による案内では、「次はestação 何々です」というように、「駅」というポル トガル語を使ってます。3連の赤バスでは、1例ですが、「Proxima Parada, Estação ~~. Desembarque pelas Portas 2 e 4」というような音声案内が流れます。「次の停留は、~~駅で、出口は扉番号2と4です」という意味です。この扉番号というのは、開く扉と、閉じたままの 扉があるからです。3連バスは長く、全部で5つ出口があります。 しかしチューブは、短いのもあれば、長いのもあるので、チューブが短い場合は、バスのほうは閉じたままの扉があるわけです。だから、音声案内は、駅ごと に内容(開く扉の番号の案内)が異なります。 チューブを利用する赤バスと銀バスは、特殊な「橋」が自動的に出てくる仕組みになっています。運転手は、前後左右をかなり正確に停車しないと、この 「橋」がチューブにかかりません。ただし前後左右、完全に一致しなくてもよいように、遊びというか、余裕があるように設計されています。この自動の「橋」 が出るバス、つまり赤バスと銀バスしか、チューブは利用できません。 チューブ駅は、たまにほかの路線にのりかえができる大型チューブになっています。そういう駅を、ターミナル(terminal)と呼んでいます。つまり クリチバ市のバスシステムでは、terminal(テルミナル)というのは終点とは限らないのです。他の路線に接続するチューブないし駅は、すべて terminalなのです。そこでは、あらたに料金をしはらうことなく、他の路線にのりかえることができます。料金をしはらった乗客と、それ以外のひと が、まじることがないように、駅の空間が設計されています。このterminalでバスを乗り継いでいくと、1.9レアルでかなり遠方までいけます。5月 5日の夜は、自宅からサンタ・フェリシダージというイタリア人街へいきましたが、バスを3回乗りついで2時間半かかりました。費用は一人1.9レアルでし た。帰りは遅くなり夜道が危険なので、家族3人タクシーにしましたが、38レアルかかりました。1人あたりでわれば、子どもは無料なので除外すると、19 レアルです。バス料金の10倍です。そのかわり、2時間半かかった道が、わずか20分弱でした。 なお、terminalでは、チューブをつかう赤バスや銀バスから、そうでない緑や黄色にのりかえることができます。その場合も追加料金は不要です。合 理的にできているのですが、緑、黄色、白のバスでは、料金徴収者はバスの前のほうにすわっていて、前の扉から乗車した乗客は、徴収係に1.9レアルをは らって、バス内の回転ゲートを通過して、中部ないし後部へと移ります。おりるときは後部ないし中部の扉から降車します。terminalで、ほかのバスか ら乗り換えるときは、この中部の扉のみがひらき、そこから乗り込むのです。そこは、すでに料金をしはらってバス内の回転ゲートを通過した人たちだけの場所 なのです。こうやって、二度払いをしなくてよい仕組みになってます。 下は市内観光のバスです。窓の大きさが、右側の写真でよくわかると思います。 |