隔膜Septum周辺
眼瞼下垂症・組織・隔膜眼瞼下垂症・トランプ
眼瞼下垂症・3面 眼瞼の解剖図で動きを無視した場合、どうしても見落としてしまう重要な構造が組織図の赤い円で囲った部分に隠されています。この部分の構造を正確に記載した解剖図を私は見たことがありません。実はこの部分にはトランプの絵札が潜んでいるのです。結膜側の構造と動きは容易にイメージできるでしょう。それと対称の構造と動きが挙筋腱膜Aponeurosisを挟んで上部に存在するのです。対応する構造を中心から遠い順に列挙すれば、球結膜が眼窩隔膜、結膜円蓋部Fornixが下位横走靭帯、瞼結膜が挙筋腱膜最上層です。そういう目でもう一度、組織図を見ると、この重要な構造が見えてくるでしょう。これらの中でその存在がまだ広く認知されていない下位横走靭帯は変異が多く、組織写真(T)のように2本に分かれていたり1本だけのものや明らかな靭帯様の組織となっていないものから眼窩隔膜全体がネット上に硬くなってあたかも全体として靭帯様組織になっているものまであります。そうしたことから、その存在を疑問視する人もいるのでしょう。しかし、考えてみれば全人類に結膜円蓋が存在するように、眼窩隔膜Septum下縁というものは必ず存在するのです。たまたまその部分が肥厚したものが下位横走靭帯として目に見えるのだと私は理解しています。
(林 雅之)
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