結膜(conjunctiva)の周辺
眼瞼下垂症・結膜
Fig.1の組織図を見て、まず私が思い浮かべたのはFig.2の大陸移動説の南アメリカ大陸とアフリカ大陸です。太古の昔、両大陸はくっついていたものが分かれたといわれています。そういう目で見ると大西洋を挟んで両大陸の凹凸がうまく重なるようです。目を眼瞼に戻してみるとFig.3のように瞼板部の結膜と眼球側の結膜はぴたりと重なります。ここで私が注目したいのはそれぞれの組織の長さに関して以下のような式が成立することです。

  tarsus = bulbar conjunctiva
  2×tarsus = palpebral conjunctiva
  palpebral conjunctiva + bulbar conjunctiva = conjunctival sac
  3×tarsus = conjunctival sac

さらにFig.4のように、眼瞼の開閉運動は瞼板高を1単位として、その分だけ動いているということです。それはすなわち眼瞼挙筋の可動域は通常の状態では瞼板高に相当するということです。Fig.5はそれらの関係をまとめた図ですが、このような単純な長さの関係すら、多くの解剖学の図ではしっかりと認識して描かれたものがありません。臨床的にはFig.6に示したように結膜側を切除して眼瞼下垂を治す術式であるFosanella-Servart法やPutterman-Urist法などの切除幅の限界が瞼板高の1/2までであることわかると思います。もし瞼板高に相当する長さだけ結膜を切除したら目が閉じなくなります。(林 雅之)
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