がんの中でも死亡率の高い肺がんを克服するために。まだまだ、生きつづけたいので経験を他のかたに少しでも役立てていただければと思います。

非喫煙でも肺がんになることがあります。原因としては副流煙が考えられます。喫煙者より辛いのは、発がん性物質の暴露量が少ないにもかかわらず「がん」になったということです。これは、場合によると、DNA修復酵素の働きが弱い可能性があります。すると、その時のがんを完全に切除できたとしても新規にがんが発生しやすい可能性があるということです。今まで以上に副流煙などに注意する必要があると考えます。

私、煙草を1本も吸ったことはありません。手術して肺を取り出すと本当よくわかります。違いをご覧ください。パチンコは行かない。麻雀はしない。居酒屋には行かない。スナックも行かない。煙草の煙もうもうのところは避けてきた。列車などは禁煙席。勤務先は、工場などから離れた郊外。職場ではたばこ吸いを避けてきました。でも、肺がんになりました。高齢者に多いのですが、40才台後半の発症です。単に運が悪かったのか、職場の環境が悪かったのか、DNA修復酵素とかの件なのか判らないので副流煙が恐い。


1999年8月初旬 例年の検診として胸部X線直接撮影を行う。このとき、あとで考えるとがんのあった場所の背中のところに大きな湿疹がありました。(無関係かな。でも、手術結果の推定発症時期から考えると別のものが写っていたことになります。この運を大事にしたいと思います。)

1999年9月15日  近所の開業医から公的総合病院に紹介状を書いてもらいました。


1999年9月18日  病院で胸部X線直接撮影をしても陰があり、10日後CTをしました。
1999年10月4日 CTの結果を聞きに行くと、入院指示と気管支鏡、肺と脳のCT、骨シンチ、肝臓の超音波検査の予約をするように言われました。そして、入院までに検査しました。


1999年10月26日  入院。がんの疑いがあるので早かったです。入院して同室になった患者さんから「末期がんの患者さんが痛みに苦しんでいた。」と聞き、勉強不足の医師がいるなという感じがしました。1985年にWHOが癌性の痛みに対しては、最終的にはモルヒネ(これ麻薬です)も使用して痛みを緩和するようにいうレポートを出しています。アメリカでは、「癌の患者が痛みに苦しんでいるとしたら、それは医師の勉強不足である」と理解されています。癌の痛みに必要量のモルヒネの使用の場合、習慣性は生じないそうです。


1999年10月28日  手術。右肺葉下部切除、リンパ節郭清。全身麻酔です。
手術の結果、直径約2cmの腺がん。リンパ節転移なし。胸膜への浸潤なし。入院前の検査でも脳、肝臓、骨への転移なしでした。推定発症時期8月でした。8月の始めに検診のX線撮影をしたのですけど。いつの検診か聞いていない。


1999年11月17日  退院。他の検査が入りましたので2日ほど遅れました。


退院後、始めは1週間後、その2週間後、さらに1ヶ月後、3ヶ月後というように定期検診が続きます。ふつうの検査内容は血液検査と胸部X線直接撮影です。


約1年後(2000年)、全般検査としてCTや骨シンチ、エコーを行いました。そうしたら、骨シンチで異常集積が見られるというのです。骨に転移している可能性があるというのです。普通、骨転移は、多発性で痛みがあり、単純X線撮影で溶骨像か骨硬化像が見られます。ところが、異常箇所1ヶ所、痛みなし、単純X線で異常なしでした。それでも、MRIで様子を見ようということになり、2週間後にMRIをしました。その結果で整形外科の担当医は、異状ないでしょうという診断でした。現在(2002年8月)この診断が一番正しかったと思います。呼吸器外科の担当医は、もう一度、MRIと骨シンチを1ヶ月後に行って判断しようといい、そうすることになりました。


MRIと骨シンチの結果は「1ヶ所何かがある」というものでした。整形外科の担当医は、非常に標準的で的確な判断として、生検をすることにしました。日取りも決まりました。


次の週、入院日の連絡があったそのあと、整形外科の担当医より検査取り消しと放射線治療を勧める電話があり、その次の週の診察日に行きました。前にも書いたように納得できませんのでそのまま様子を見ることにしました。2ヶ月後のMRIの予約をして帰りました。どうも、外科部長か誰かが転移と決めつけ、部下の立場にある担当医はそれに従わざるえなかったのではと考えています。転移なら放射線治療です。無駄な放射線を浴びさせられるところでした。担当医が良い医師なのでそのまま続けて通院してます。日本の医局の悪いところがでたようです。この騒ぎの5ヶ月後のMRIの結果を診て、整形外科の主治医は「ほっと」したような顔をしていました。放射線治療をしなくて良かったと思われたのでしょう。


その後の検診で骨や肺に変化はなく、血液検査も異常なしで過ごしました。


2年目の全般検査を受けました。骨のほうは変化なし。他も異常なしでした。


3年目以降も異常なしです。5年経過しましたが「油断大敵」ですので今まで通り注意して生きたいです。。

検査の説明

胸部X線直接撮影・・現在の検診では人間ドックでは使われているが、集団検診では間接撮影が利用されている。私の場合、間接撮影であれば、今ごろ死んでいたと思われます。

CT   X線を利用します。体を輪切りにしたような撮影を行い、単純X線撮影より精密に内部の様子を調べることができます。

気管支鏡  胃カメラより細いカメラを気管支に入れて内部の様子を観察します。うまくいけばサンプルを取り出すことができます。肺の端のほうは見れません。

骨シンチ   腫瘍細胞が骨にあると破骨作用が盛んになるのでそれに対して造骨細胞も活発になります。この検査のTcという放射性元素を利用して作った試薬を注射すると造骨が盛んな部位に吸着する性質を利用しています。骨折などでも造骨が盛んなので骨折場所を見つけるときにも利用されます。

超音波検査(エコー)  音は周波数が高くなると直進性がよくなり、反射などの解析が容易になります。体の内部に向けて超音波を発射しその反射波を解析して内部の様子を調べること。

MRI   強力な磁石を使用し、その中で人体の特定の構成元素の出す信号を読み取り、画像化する装置。