「国鱒一匹、米一升」といわれ、秋田県田沢湖特産の幻のクニマスであった。
クニマスはサケ科に属し、ヒメマスの亜種とも考えられているが、産卵の最盛期が他のサケ・マス類と異なり冬である。
ことなど、特異な生態から独立の種との見方もある。
クニマスは1940年(S15)年水力発電のため国策として、田沢湖を貯水池として利用するため「玉川」の水が田沢湖に
導入されたことで絶滅した。玉川上流の玉川温泉(強酸性泉)が田沢湖に流れ込むようになったためである。
各地へ放流用に受精卵を送った記録があることに望みをかけて、田沢湖町観光協会が95〜98年、最高500万円の
懸賞金つきで「生き残り」を探したが見つからなかった。≪ポスターは「釣談魚談交遊録」に掲載≫
これまで標本が、18匹前後が知られていただけだった。
(注)標本数は定かでない。
京都大学総合博物館10匹
秋田県立博物館、田沢湖郷土資料館など県内5匹
米国シカゴ博物館1匹、サンフランシスコ博物館2匹
幻の「国鱒」標本あった 2004.4.24 秋田さきがけ新聞 クニマス京都への旅 ★京都大総合博物館にあった標本9匹を秋田県水 産振興センターが鑑定 ★中坊教授によると、今回の標本はクモ学で知られ る、故岸田久吉博士が秋田県内の中学校の教師 をしていた1915(T4)〜1918(T8) の間に採取し日 本の淡水魚生物学の祖とされる、故川村多実ニ 京大教授に贈ったとみられる。 ★杉山英樹氏(秋田県水産振興センター内水面利 用部長「クニマス百科」の著者)が9匹のうち届いた 5匹をX線撮影し、2匹は卵を持つ雌であることも わかった。 ★三浦久兵衛氏(田沢湖に生命を育む会相談役)も この標本を目にして10代の頃クニマス漁を手伝 っていた、「生きていたときの姿に近く、網を上げ るとクニマスがキラキラ光った、当時の光景を思 い出した。」 ★川那部浩哉氏(滋賀県立琵琶湖博物館館長)は クニマスは、日本の淡水魚で絶滅したことがはっ きりしている3種類のうちの1つで謎が多い。分類 や生態を調べるうえにはまとまった数の標本が絶 対必要で、今回の9匹は大変貴重だ。 ★9匹はエチルアルコールを満たした2本の標本瓶 に分けて保存されている ★全長は小さいもので30cm、大きいもので34cm ラベルには「秋田県田沢湖町・岸田久吉寄」とあり 氏が大館中学(現大館鳳鳴高校)に生物の教師と して赴任していた ★中坊教授によると、大正時代といえば日本の淡 水生物の黎明期、川村教授hは研究のため日本 各地から淡水生物を取寄せていた、その中にこ のクニマスもあったのではないか。 ★米国にある標本も川村教授の手を経て海を渡った ものとみられる ★魚類学の世界的権威とされるデイビッド・スタア ・ジョルダン博士(米国)が日本の魚類を採集する ため、T11年に来日。採集の協力をした川村教 授はクニマス3匹をはじめ日本各地から集めた淡 水魚標本を博士に寄贈したと言う ★米国に戻った博士は1925(T14)、この標本を学会 に新種として報告、川村教授にちなんでKamurae (カワムラエ)と名付けた |
保存状態は”極上”仙台で標本2匹 2004.8.21 讀賣新聞 幻のクニマス標本発見か、仙台の博物館 ★クニマスとみられる標本が斉藤報恩会(理事長 斎藤温次郎氏) 自然史博物館(館長:西澤潤一氏)に保存されて ★いた ★杉山英樹氏によると「これほど魚体の色が鮮明 に残っているのは珍しく貴重」 ★標本は2匹で体長20.5cmと21.4cm ★収蔵リスト作成のため、標本を整理していて 小林和貴氏(東北大・院・学生)が殆ど光の当た らない標本棚で見つけた ★標本瓶には「マス」とだけ記されていたがホルマ リン溶液中のラベルを確認したところ「陸封型マ ス」と書かれていた ★ラベルには、いずれも「昭和13年8月4日」魚類 学者大島正満氏が田沢湖で採取、氏の直筆とみ られるクニマスの学名も記されていた ★同博物館は昭和8年設立の私設施設、東北地 方の生物標本を網羅する活動に取り組んでおり クニマスもその一環で採取されたらしい ★山崎学芸員は「記録上はクニマスに間違いはな い今後は専門家の指導を仰いではっきりさせた い」と話している ★杉山部長は写真で確認したが、「精査しなけれ ば断定できないが ☆1匹は胸ビレが長く、ヒメマスに見られる黒点が ないなど、クニマスの可能性が高い ☆もう1匹は背に斑点のようなものが気になる いずれにしても保存状態が極めて素晴らし標本」 と関心を示している 「クニマス百科」目次 編・著:杉山英樹 発行:秋田魁新報社 P239 編集協力:田沢湖町観光協会 本体1,800円 T・クニマスに関する分類学的研究 U・クニマスの特徴 V・田沢湖の環境 W・田沢湖の漁業 X・ふ化・放流の取り組み Y・クニマスと文化 Z・クニマスの滅亡 [・クニマス鑑定委員会 |
以下の画像は財団法人斉藤報恩会「自然史博物館」のご好意で掲載しています。
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参 考 図 書 「クニマス百科」杉山英樹:秋田魁新報社:H12 「淡水魚あきた読本」杉山英樹:無明舎出版:1997 「日本学術協会報告」第16巻第2号S16 以下吉安克彦氏より情報入手 「応用動物事典」大島正満代表著者:北隆館:S36 「鱒釣り」目黒廣記:杉山書店:S10 「秋田郡邑魚譚」武藤鉄城:アチックミューゼアム:S15 「魚」大島正満:金子書店:S50 「淡水魚類総説」青柳兵司:淡水魚保護協会:1979 などなど |
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枠外左下M.O |
三浦氏よりクニマスの話を聞く 関連記事 2004・4・24朝日夕刊 2004・5・9秋田さきがけ 2004・8・19秋田さきがけ |
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