「お盆」ってなあに・・・。

    

◆お盆とは…◆


正しくは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」のことで、略してお盆といいます。 
盂蘭盆とは、サンスクリット語の"ウラバンナ"を音訳したもので、「地獄や餓鬼道に落ちて、逆さづりにされ苦しんでいる」という意味で、そのために供養を営むのが、盂蘭盆会なのです。 
釈尊の弟子の一人、目連尊者という人が、神通力で亡き母の姿を見たところ、母親は、餓鬼道に落ちて苦しんでいました。 何とかして救いたいと、釈尊に尋ねると、「七月十五日に、過去七世の亡き先祖や父母たちのために、御馳走を作り、僧侶たちに与え、その飲食をもって、供養するように」と教えてくれました。教えの通りにすると、目連の母親は餓鬼道の苦をのがれ、無事成仏することができたそうです。 この故事が、盂蘭盆会の始まりといわれています。 

 

◆先祖の霊を迎える行事◆


お盆(盂蘭盆会)は、ご先祖さまの霊があの世から帰ってきて家族と一緒に楽しいひとときを過ごし、また帰っていくという日本古来の信仰に基づく行事です。その大切な時にご先祖さまや亡くなった人たちが苦しむことなく喜んでくださるるようにと、私たち子孫が報恩の供養をする時なのです。

 

◆盆月の朔日◆

盆月の準備は朔日(ついたち)から始まります。この日にあの世の釜のフタが開いて、ご先祖さまの霊が冥土からそれぞれの家に旅立ちます。

 

◆精霊棚をお仏壇とは別に設ける◆

お盆にご先祖さまをお迎えするために設ける棚を精霊棚(しょうりょうだな)といいます。本来は座敷の別のところにお飾りするのですが、部屋の関係でお仏壇の前に設けているご家庭も多いようです。お仏壇の前に白布をかけた座卓をおき、お仏壇の両脇に笹竹をたて、なるべく上の方にまこもの綱をかけます。その綱に粟の穂、みそはぎ、がまの穂、栗の小枝、桔梗、ほおずき等の盆花をさげます。卓には「まこも」を敷いて、その上にお飾りものを供えます。野菜や果物の初ものを籠に盛って供え、ご先祖さまをお迎えしてのご馳走をお供えします。
ご馳走の他に欠かせないのが「水の子」です。蓮の葉に茄子を賽の目に刻んだものをのせて左側に、右側には蓮の葉に水を入れ、みそはぎの小枝を添えておきます。
拝むときには、みそはぎの小枝に蓮の水を浸し、それで左側の茄子の水の子の上に水をかけるようにします。これを「灑水(しゃすい)」といいます。茄子の種子が百八つの煩悩にたとえられ、その煩悩の火を灑水で消すという意味です。

 

◆きゅうりの馬と茄子の牛◆

きゅうりで作った馬と茄子で作った牛をかざりますが、きゅうりの馬は、一刻も早くご先祖さまをお迎えしたいという意をあらわし、馬に乗って来られるようにとの思いを形に表したものですし、茄子の牛は、お土産をもってゆっくりとお帰り下さいという意を牛にゆられながらお帰りいただき、また来年お迎えしたいという思いを形にあらわしたものです。

 

◆迎え火◆

お盆の十三日の夕刻、門前で「おがら」をたいて「迎え火」をし、その火を精霊棚のお灯明移したり、縁側の軒先か盆棚のところに吊るされた盆提灯の火とします。本来は海辺からお墓、お墓から門前、門前から精霊棚へと灯火を次第に移したものです。最近は海辺やお墓で火が焚けないので、門前からお迎えしましょう。

 

◆お盆の おもてなし(ご馳走)◆

お花、香炉、灯明をお供えするのはもちろんですが、遠来のお客様をお迎えする心で、お盆中ご先祖さまに何かご馳走をつくってお供えし、家族の人びとも一緒にいただくようにしたら、よりよいお盆が過ごせます。精霊棚に並べられたお位牌の数のかわらけ(お皿)を用意し薄板の上にのせて、それぞれにおがらでつくった箸をつけ、おもてなしをします。お供えの度にお経やお念仏を称えることが望ましいでしょう。

十三日

夕「迎え団子(甘い餡をつけたもの、またはおはぎ)」
「茄子の味噌あえ」
 「季節の野菜、果物など新しいもの、珍しいものをお盆の上にてお供えしま  す。さつまいも、里芋、ささげ、枝豆、茄子、とうがん、カボチャ、キュウリ、スイカ、ウリ、メロン、ブドウ、トウモロコシなど」
 ※このお供えした素材の中から、三日間のおもてなしをします。

十四日

朝 「ご飯」「カボチャ、茄子、アゲ、ささげの煮付け」
昼 「ぶんどがゆ」「とうがん汁」「キュウリもみ」「ずいき」
夕 「アゲ寿司(精進寿司、ちらし)または、おにぎり」
    お小遣い(ヤシャカの市に買い物に行くため)

十五日

朝 お休み(ヤシャカの市に買い物に行くため)
昼 「酢そうめん」「すいか」「ところてん」
夕 「ご飯」「ぬきな汁」「せんごく豆」「焼き豆腐」「とうがん」
  「茄子の煮物」「送り団子(餡なし)」

 

◆送り火◆

「送り火」は十六日(十五日とする地方もあります)の夕刻、精霊棚のお灯明から移した火で、門前で「おがら」をたいて「送り火」とします。迎え火とは逆に本来は精霊棚から門前、門前からお墓、お墓から海辺へと灯火を次第に移しお送りしたものです。

 

◆離れていて供養に参加できない場合は・・・◆

最近は夏休みの時期も人それぞれ。お盆に実家に帰れないという人も多いはずです。だったらせめて部屋の中に盆棚に見立てた空間をつくってみませんか。ききょう、萩、ほうづきなどお盆につきものの花や先祖の霊が乗るといわれる、きゅうりや茄子で作った馬や牛を飾りましょう。これに毎日お水を供えて遠く離れたご先祖さまの霊に手を合わせてみてください。お線香も必ずたきましょう。また、お盆休みに旅行されます方は、ひとときでも結構ですので合掌し、心安らかに先祖がお帰りいただいてる気持ちをお味わいください。

 

◆盆踊り◆ 


盆踊りの意味については、さまざまな説があります。お盆にもどってきた精霊を慰め餓鬼や無縁仏を送るための踊りという説、お盆の供養のおかげで成仏することのできた亡者たちが歓喜する姿を表現したもの、お盆にもどってきた精霊たちを踊りに巻き込みながら送り出すためのもの、悪霊や亡者たちを踊りながら追い出すものといろいろです。
いずれにしても、ご先祖さまの精霊に対して踊るものですが、同時に私たち生き生かされている者の楽しみの一つであり、歓喜の表現でもあります。  

 

※上記の内容は、一般的なもので、「すべて揃えなくてはいけない、必ずそうでなくてはならない」というものではありません。揃わないものは、省略して頂いても結構ですが、せっかくお帰りいただく先祖に哀しい想いはさせないでください。また地方の風習・宗派などによって変わるものもありますので、ご了承下さい。


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