1.回路設計の基本
電子回路の設計でプロとアマチュアでどこが違うかというと、その信頼度の高さですね。外的なノイズや電圧変動などで回路が誤動作したり、ノイズが発生したりを防がなければなりません。そこで重要なのが部品の規格表。設計に必要なのが全部入っています。だから、規格表はよく見るようにしましょう。
2.絶対最大定格
半導体の絶対最大定格は部品の生命線。どんな場合でもその規格を超えてはなりません。普通は試作段階で確認しますが、確認したつもりが確認されていないということがありました。非常に狭いヒゲ状のパルスで絶対最大定格を超えている事例。するとどうなるかというと、半導体の接合面を少しづつ破壊していき、あるとき突然壊れます。すぐに壊れないので、市場にでたあとで故障が多発。いちばんやっかいな事例ですね。リストラのリストに自分が載ったらその手で復讐する?そんな芸当ができる技術屋さんはリストラされません。
3.アナログ回路とデジタル回路
技術者はよくアナログ技術者とデジタル技術者に別れますが、専門は一応どちらかにするにしても基礎的なものは両方必要です。いくらデジタル回路といってもスピードの速いところとかはアナログ回路の素養が必要です。デジタルでも最後はアナログ部分がありますからね。モデムなんて本当にアナログとデジタルの両方の知識が必要です。
4.音響部門は難問
音楽関連の設計はこれは難解。なぜかというと測定器で測れない要因があるからです。やはりコンデンサは××でないと音がよくないといいますが、測定器ではその違いが現れないからです。まして真空管アンプなんて、普通のアンプに比べれば特性が劣っているのにマニアと称する人はそれが良いといいますからね。真空管は日本のメーカで作っている会社はなくなりました。いまどき、アノード、カソード、グリッドなんていってもわかる技術者は少数でしょう。部品も耐圧が高くて大きいサイズの部品がなくなりましたから。それに真空管アンプに必要なトランスもなくなりましたな〜。しかしこんな話をすると年がばれますね。
5.ローアクティブ
デジタル回路の場合、外部に信号がでていく場合、レベルがローになったら有効な指令がでたということにする場合が多いです。なぜ、ローアクティブになったかというと、その昔、TTLがロジックの主流だったからの影響ですね。TTLがローとハイの境目であるスレシホールド電圧は電源電圧の半分ではなく、電源電圧の半分より低い電圧でした。だから、使わない機能のときはそれをハイ側に固定すると、ノイズマージンが大きくとれて、信頼度が高くなったからですね。C-MOS以降はスレシホールド電圧は電源電圧の中間付近ですから、まったく意味がなくなりましたが、慣例として残っています。また、そうでなくても信号の意味を統一する目的でも便利です。とにかく、ローになったら動作をするというふうに決めておけば、大勢の人で設計するときには意思が統一できて便利だからです。
6.アルミ電解コンデンサ
電源のリップル除去などによく使われるコンデンサです。耐圧を気にされる方が多いですが、意外と大事なのが容量ヌケです。容量はアレニウス則でだんだん減っていきます。温度が高くなるとさらに減る速度が大きくなります。だから、高温の環境におかれた電解コンデンサがいつのまにか容量が減って不具合が発生するということがあります。
コンデンサのデータシートをみると105℃品とか85℃品とかがありますから、データシートに注意していれば気がつきますでしょ。あとリップル電流も影響は少ないながら寿命を決めるので注意しといてくださいね。くわしくはメーカのテクニカルマニュアルなどを参照した方がよいでしょう。
7.ヒューズ
ヒューズは設計の難しいものの一つです。交流電源の突入角によりラッシュ電流が違い、その検証を行わなければならないからです。かつ、故障したときは確実に溶断するようにしなければなりませんから。
8.FET
バイポーラトランジスタはベースエミッタ間電圧はほぼ0.7Vで一定です。ところがFETとゲートソース間電圧はかなりばらつきます。データシートを見れば明らかです。この違いをよく理解してないで設計すると、小ロット生産のときは問題なかったものが、大量生産するときにバラツキで連続して不良品が発生することがあります。
8.タンタルコンデンサ
あまり使いたくないコンデンサです。小型なのはよいのですが、故障するとショートモードになりやすく、機器に致命的となることがあります。定格電圧、リップル電流、極性(一瞬でも逆電圧が印加されないように)に十分注意する必要があります。
9.デジタル信号処理
装置を小型化するのに信号処理回路をデジタル信号処理にすることがあります。Z変換という差分方程式を簡単に解く方法で設計します。DSPというデジタル信号処理用ICができて、非常に便利になりました。ただ、アナログ回路は見よう見真似で作れましたが、デジタル信号処理は完全に数学の世界ですので、勉強しないと機能を実現できません。そのかわり、設計したとおりの性能になります。つまり部品のばらつきとかをあまり考慮しなくてすむようになりました。
10.コネクタ
普通のコネクタは逆向きに接続できないようになってますが、ある種のコネクタは逆に接続できるのもあります。そのとき大事なのが、ピン配置。逆接続しても電源がショートするなどしない、装置にダメージを与えない工夫をします。
11.単電源オペアンプ
オペアンプは普通、プラスとマイナスの二つの電源で動作させますが、単電源も動作できるようにしてあるアンプがこれです。どこが違うかというと、出力が電源電圧付近までめいっぱい出力できるということと、出力が電源電圧を超えそうな状態になっても、飽和するだけで発振したり異常な動作をしないということです。ビデオ帯域まで周波数帯域があるようなオペアンプは出力を電源電圧付近に近づけると、突然、極性が反転したりします。取扱が難しいですね。
12.回路図
回路図は何回もコピーされることがあります。すると悪い例のような場合、Aの接続点がコピーにより接続点があるのか、単に交差しているのかわからなくなります。良い例のように、接続点の場合は必ず3本の線で引き出されるようにかけば、間違いなくそこに接続点があるのがわかります。
13.熱抵抗(温度上昇)
案外見過ごしがちなのが熱抵抗です。特に出力段のトランジスタとかです。電源のトランジスタとかは熱くなるのを十分に理解して設計しているので、設計でミスしていることはありませんが、ちょっとしたところでミスしていることがあります。あるとき、誰かが設計した図面をみて「これはこのトランジスタは相当熱くなるはずだ」と思い、なにげなく触ったらアチチとなりました。バカですよね、私。
14.反射係数
高周波になりますと、反射とかが発生します。そんなに高周波なんかやらないよという技術者でも波形伝送するにはインピーダンス整合が必要だということを認識させられます。だいたい、波長の10分の1以上の長さで伝送しようとすると問題になってきます。さて、電波を測定するサイトで使用されているダイポールアンテナはアッテネータが入っています。アッテネータがあると見かけの反射が少なくなり、インピーダンス不整合による誤差が少なくなるからです。
15.PLL
PLLの教科書はPLLの動作をラプラス変換で記述しています。これはアナログのPLLで成り立つ理論で、現実のPLLではあまり役に立ちません。それというのも、現実のPLLは分周回路があったり、位相比較がある時間間隔でしか行われないため、ラプラス変換ではとけないからです。そういうときは、コンピュータによる数値計算等が必要になってきます。Z変換で離散量を扱う知識があると便利です。ラプラス変換より実際に近い理論値がでますから。
16.フィルムコンデンサ
誘電率が小さいので歪少なく増幅したりするのに便利です。その分、大きさがでかくなるのが欠点です。熱にも弱くなります。だから、熱い部品の近くにおけません。
17.VBE
ベースエミッタ間の逆耐圧は5Vくらいと比較的小さいです。これは瞬時でも超えてはいけないので、特に誘導性の部品がついているときは要注意です。
18.オペアンプ
オペアンプは非常に便利なアンプです。増幅率が非常に高いため、簡単な負帰還で所定の特性を出すことができます。ただ、出力があまりでないので、出力増強のためにはトランジスタやFETのパワー回路を付けてやる必要があります。また、ゲインが1に近くなると、発振しやすくなります。これはオペアンプのデータシートをみるとわかります。ちゃんとゲイン1でも発振しないとうたっているオペアンプもあります。
19.スイッチ
マイコンの入力でスイッチの状態を検知して動作させることがあります。この場合、当たり前ですが、スイッチに多くの電流を流すことがありません。しかし、あまり流さないと(マイクロアンペアオーダ)だと、正常に働かないことがあります。それは、スイッチに電流が流れるためにはスイッチのコンタクト表面の酸化膜を飛ばすに十分な電流が必要だからです。
20.ループフィルタ
PLLにはループフィルタが用いられます。雑音等の影響でVCOが大きく変動するのを防ぐのが主目的です。ビデオ信号処理系の場合、VCOの感度を上げることが難しく、そのため低感度のVCOとなります。ところが、低感度のVCOはその基本発振周波数と入力信号の基本周波数に差があると、一定の位相差をもってPLLが同期します。その位相差は画像のサンプリングの位相差となるため、除去しなければなりません。そのため、完全積分型というループフィルタが採用されます。
21.電線
電線が機器の操作に応じて曲がるようなところには細い線を沢山寄り合わせた電線を使います。太い線はすぐにきれます。また、線のより方向に注意して、機器が動いたときによりがしまる方向にするとよいようです。
22.抵抗率
電力を消費すると装置は電流が多く流れている場合があります。そのとき、電流が流れたことによる電圧降下に注意しなければなりません。特に、論理回路は電源電圧の許容量が小さいです。一見、正常に動いているようで、実は動作限界ギリギリなんてことがあります。配線の太さと銅の低効率を計算して、電圧降下しないように注意しましょう。
23.二重絶縁電線
100Vなどが印加される箇所には二重絶縁のコードが要求されたりします。
24.動作周波数
論理回路の場合、だいたい20MHzぐらいの動作になるとパターン設計に注意しないと動作が不安定になります。配線は一筆書きにしないといけませんし、異なる種類(LSとFAST)の論理ICを組み合わせると反射がでてきます。オシロのプローブも普通のプローブではなく、高い周波数が見れるタイプにしないといけません。場合によっては、終端抵抗で反射を抑えたりすることも必要です。
25.DBM
ダブルバランスドミキサ。半導体のもありますが、コアを使ったものがあります。変復調回路にはなくてはならないものです。金属製ケースに入ったものは、ケースとベタアースでシールドします。こういう高周波回路はスペアナが必要になってきます。値段も高いうえに、測定を正確にやるには高周波の知識がいるという、とても専門的なものになります。
26.電池
最近、携帯電話の電池が膨張するという事故があるようですね。昔の二次電池にはちゃんと弁がついていたから過充電になっても電池が膨張することはなかった。コストダウンとかの影響ですかね。
27.FET
入力インピーダンスが高いというのが特徴ですが、気をつけないといけないのはVGSが以外に大きくてばらつきも大きいということ。同じトランジスタのVBEは0.7Vでばらつきもほとんどなし。試作段階で何にも異常がなかったのに、量産段階でVGSのばらつきで不良品続出ということにならないようにしないといけません。
28.シーケンサ
シーケンサというのは三菱電機の登録商標みたいです。オムロンはZENというシリーズのシーケンサを販売していましす。シミュレータがあるので、プログラム開発が楽です。値段も安いです。プログラムは基本的にラダー図で行います。
29.接合温度
トランジスタの接合部の最大温度を示します。パワータイプのトランジスタですと、接合部とケースの熱抵抗が記載されているので、ケースの温度から接合部の温度を計算し、最大温度を超えていないように設計します。小信号のトランジスタですと、放熱板が付くことがありません。そして周囲温度と最大コレクタ損失を表すグラフがあるので、それで定格の範囲内が判断します。トランジスタをスイッチとして使う場合、スイッチング周波数が低いときはほとんど問題になりません。アンプとかで使うときですね。
30.VEBO
エミッタ・ベース間の逆電圧の最大値です。以外に低い場合があります。5Vとかですね。だからトランジスタをスイッチとして使うときバイアス回路を間違うと簡単に破壊してしまいます。気をつけましょう。
31.ミュート回路
電源の投入時などに、スピーカの出力を遮断するのにトランジスタのスイッチを使ったミュート回路を作るときがあります。これ専用のトランジスタがありますので、その場合にはそれを使った方がよいかもしれません。
32.雑音指数
トランジスタにも雑音指数が書いてあるものがあります。低雑音のアンプを作るときはこの指数の低いものが必要です。特に、初段のアンプで性能がきまりますので、そこだけ注意して設計すべきものとなります。